4 ……求婚は、ちゃんとするから。

2/68
62人が本棚に入れています
本棚に追加
/317ページ
「ここに来たら笑満ちゃんいたから声かけたら……すごい勢いで逃げられた……俺嫌われてたかな……いや……あんな事件あった奴なんて嫌だよな……」 ぽつぽつ話すが、今まで見たことないくらい落ち込んでいる。 遙音は基本的にテンションが高い。 咲桜から、松生が遙音のことを憶えていたことは聞いている。 今もすきなことも。だが、遙音から松生の話を聞いたことはなかった。 「……松生と知り合いなのか?」 知らぬふりで訊いてみる。 遙音の過去を思えば、下手に地雷は踏みたくない。 遙音は更に俯いた。 「……最後まで俺に優しかった、唯一の子だから……。頼むから今は凹まして………」 ――憶えていたよりも、深いところで知っていたようだ。 最後まで、か……。
/317ページ

最初のコメントを投稿しよう!