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『あら。おかえり………って、叶美?
どうかしたの!?』
すぐに部屋に駆け込んだ。
『~!~!~!?』
好き?好きって………えーっと、えーっと…
部屋をうろうろして考えを巡らせた。
嘘……だよね?からかってるだけだよね?
だって私だよ?
部屋の姿見を見つめてため息をついた。
面白味のない黒髪。
細くて白い、貧相な体。
笑わない顔。
声の出ない口。
うん……きっと冗談だ。
落ち着いて。
明日にはきっと松永君の教科書が届いて
席は離れて
私なんかと話してくれなくなって…
勉強机に座って、教科書を広げた。
……………綺麗な字。
今日、松永君が笑ってくれた顔をずっと忘れないでおこう。
冗談でも、好きって言ってくれたこと
覚えておくだけなら……いいよね。
落書きのページを広げて
松永君の字を見て居ると
少しずつ睡魔がやってきて
そのまま少しだけ眠ってしまった。
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