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しばらくすると、あの担任は体調を崩したとかで
学校を辞め
新しい担任が来て
また日常が戻った。
だけど俺はもう前には戻れなかった。
かなが誰かに笑いかけるたびに
楽しそうな声で話すたびに
そうやって誰にでも優しくするから
つけこまれるんだよ!
『………れん?』
『お前の声。気持ち悪い。』
『……え?』
『なんで笑ってんの?
お前の笑った顔、大嫌いなんだけど。』
クラスの全員が居る前で
俺はかなを傷つけた。
クラスの中心は俺だった。
俺が冷遇すれば、まわりが同調するのは分かってた。
次第にかなから笑顔が消えて
声も発しなくなった。
もう誰もかなの笑顔なんか見なくていい。
もう誰もかなの声なんか聞かなきゃいいんだ。
俺だけに笑ってくれてれば、あんなことにはならなかったのに。
裏切ったのはかなの方だ。
かなが悪い。
かなが……
それなのに。
かなを嫌いになれない。
俺はかなを傷つける事しか出来ないのに。
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