れんの話

7/7

71人が本棚に入れています
本棚に追加
/53ページ
転校生が来てから3日たった。 社交的なタイプらしく、おかしな言葉を使うが それがまたウケて居るようだ。 俺が言ったからか かなはあれから転校生と筆談もしないことに決めたらしく、以前の無表情に戻っていた。 『きじま~れんくん………やったっけ?』 壁際で体育シューズの紐を縛り直していると 見下ろされてる気配がして顔を上げると あの転校生の顔があった。 『何か用?松永君。』 『いやぁ~男のわしが見ても 惚れ惚れする美形やなぁ。アンタ。』 わざわざ隣に腰を降ろした。 めんどくさいな。 適当にあしらって… 『本田さんの教科書破いたの、アンタやろ?』 『……………。』 『やっぱりな。』 『君には関係無いと思うけど?』 『大アリや。 もしや本田さんが喋らんのも、アンタの仕業なん?』 ウザいな。コイツ。 『本田さんにかまって欲しくて嫌がらせか? 随分ガキ臭いことしよるなぁ?オタク…………ッ!』 言い終わる前に、俺の右手は松永の頬を殴っていた。 『お、おい!貴島!?お前今…』 『あー!先生、かまへんて! こんな蚊の停まった様なパンチ、痒いだけやて! それよかはよバドミントンしよっさ! なぁ?れんくん?』 馴れ馴れしく肩を組んできた。 『お前…』 『これは勝負や。』 小さく、低い声で 松永は俺に言った。 『俺が勝ったら、オタク、本田さんから手ェ引け。』 『……は?』 『俺が負けたら、もう本田さんに教科書見してもらうの止めたるわ。』 『お前…わざと教科書無いって…』 『ええやん。それくらいの嘘。ハンデやハンデ。 そっちは幼なじみってカード持っとんやし。』 『ふざけんなッ!どう見ても俺の条件が悪いだろ!』 『あれェ?もしかして自信ないん?』 『後悔するぞ?お前。』 『セリフだけなら、かっこええな。』
/53ページ

最初のコメントを投稿しよう!

71人が本棚に入れています
本棚に追加