かなみの話

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『かなにはそんな服、全然似合ってないよ。』 そう言って、れんはお母さんが買ってくれたばかりの白いワンピースに、飲みかけのコーラをドボドボとかけた。 『ちょっとぉ!れんー。やりすぎー。』 『泣いちゃうよー。本田さんー。』 泣かないよ。 泣いたられんは喜んで、今度はもっとひどいことしてくるってわかってるから。 『ちょっと叶美(かなみ)! そのワンピースもう汚しちゃったの!?』 『………ごめんなさい…』 『……いいから早く着替えなさい!』 私がワンピースを脱ぐと、お母さんはプンプンとそれを持って行った。 『ほんとに叶美はどんくさいわねー。 このシミ落ちるかしら…』 私はいつもの紺色のTシャツに、デニム生地のハーフパンツという いつものスタイルに戻った。 あの白いワンピースは可愛くて お母さんが買ってくれたときはものすごく嬉しかった。 だけど… 実際着てみたら、なんだか違った。 ワンピースはかわいいけど 可愛くない私に着られて なんだか可哀想に見えた。
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