あらし

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席替えをした。 松永君とれんはそれぞれ窓際と廊下側の前から2番目。 私は前と同じ。真ん中の列の1番後ろだった。 後ろからクラスを眺めてみると、いろんな事が見えてくる。 今までクラスの中心はずっとれんだった。 けど今の中心は、松永君なのかもしれない。 『さて、来週から中間テストです。 土日はしっかり勉強して、備えて下さいね。』 金曜日の帰りのホームルームが終わった。 『本田さん。』 席から窓の外を眺めていると、松永君がやって来た。 『わし、本気で1番取りに行くけど。 ほんまに無理ならゆってくれん? 無理強いとかはしたくないねん。』 『………………。』 『本田さんの気持ち、聞きたい。』 今まで圧し殺してきた、私の気持ち… 私はペンを持った。 そしてノートの1番裏のページを破いた。 「自分の気持ちはよく分からないけど」 「松永君は嫌じゃない。」 「でもよく分からないの。」 「すきとかきらいとか。」 『ほんまに昔っから不器用やな。あんたら。』 私の字を見て、松永君は苦笑いをした。 昔? 『ま、ええわ。ほんならまじでいかせて貰うわ。 ほな、気を付けて帰り。はよせんと、雨降るで。』 えっ?ちょっと待って!昔ってなに? 思わず松永君のワイシャツをつまんだ。 『ん?なに? …あぁ、それもぜんぶデートの時に話すから。 楽しみに待っとって。』 ニコッと笑って帰ってしまった。
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