あらし

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『かなが自分から言い出せないやつだって 昔なら俺が1番知ってたはずなのに 俺は……気付けなかった自分が許せないのに 怒りをどうすることも出来なくて かなにぶつけてた。 辛いのはかななのに。』 れんの綺麗な涙が、ポツポツと出来上がった資料の上に落ちた。 『ほんと、ごめんな。 俺は、ずっと かなを俺に縛っておきたかったんだ。 他の誰にも笑って欲しくなかったし 声も聞かせたくなかった。』 パチンッとれんは最後の冊子にホチキスを留めた。 『でも、もう。辞める。』 『…………。』 『…俺は、お前の前から消えるから。 だから… また笑って?』 気付いたら、私の頬にも涙が流れていた。 『ばいばい。かな。』 れんは行ってしまった。 私の世界に初めて現れた男の子は 私にごめんとサヨナラを言って 居なくなってしまった。
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