ぶきよう

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テスト初日。 教室にれんの姿は無かった。 『逃げたんじゃない?』 『あーあ。なんかガッカリ。』 今まで蓮、蓮と言ってた人達の言葉に 何とも言えないモヤモヤした気持ちが募る。 いつも明るい松永君も 珍しく神妙な顔だった。 『きっと自信が無かったんだよ。ね?松永君!』 『……ま。そら本人しか分からんし。 ライバルは貴島だけや無いしな。 気は抜けんて。』 テストが始まったけど、全然集中出来なかった。 『貴島、どないしたか知っとる?』 帰り際に松永君が聞いてきた。 私は首を横に振った。 『そか。』 それだけ。 何も聞いてこなかった。 正直、今はそれがありがたかった。
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