ぶきよう

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『あいつ、俺達と同じ小学校にいた事があるらしい。』 『えっ……でも…全然知らないよ?』 『ほんとは学年がいっこ上なんだ。 病気で通えなかった分、中学で1年留年になったらしい。』 病気……って言うのは嘘じゃなかったのかぁ。 『それでさ』 れんが少し言いづらそうに座り直した。 『なに?』 『かなには思い出したくない事だと思うけど』 そのひとことと、れんの顔で分かった。 『……小5の…担任の先生の話し?』 れんが頷いた。 『あのとき、あいつ あの空き教室の外に居たらしいんだ。』 『えっ……うそ……』 血の気が引いた。 あのときの記憶が甦ってきて 気持ちが悪い。 『大丈夫?ちょっと座れば?』 『うん……』 ベッドの端に座った。 知られてたんだ…松永君に。 ショックだ… 『ごめん、続けて?』 『…あいつはあの空き教室に連れていかれるかなを 何回か見てて。 かなの様子がおかしいから、あの日 空き教室の外に潜んでたんだってさ。 それで、その時録音した音声持ってて 昨日…俺も聞いた。』 『俺のために……かなは我慢してくれてたんだな 気付かなくて……ごめん。』 『ううん。………もう、いいの。』 『また、れんと話せる様になれたから。』
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