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教科書を持ってなかった松永君は私と席をくっつけて授業を受ける事になった。
『すまんのぉ。本田さん。』
私は首を横に降った。
『本田さんて下の名前なんて言うん?』
『……………。』
私は二人の真ん中に置いた教科書に
「かなみ」
と書いた。
『?』
松永君は声を出さない私を不思議そうに見つめた。
でもすぐにニッと笑って
「どんな漢字?」
と書いてきた。
思わず顔を上げて、松永君を見つめた。
変に思わないの?
「叶美」
私の字を見て、また目が合った。
『綺麗な名前やな。』
私の心臓がひとつ高く跳ねた気がした。
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