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大学を卒業した後
「若様、緊張なさっています?」
バックミラー越しに、梢さんの視線を感じた。
「いや、それより何の仕事をさせられるのか、心配の方が強い」
「今日は会社の説明だけですよ。仕事の方は後日となります」
「説明長い?」
「最初に若様に理解なさって欲しいことは、そんなに長くはないかと…。ただ」
そこで梢さんが苦笑した。
赤い口紅が、いたずらっぽく光っている。
「理解するのに時間がかかるかもしれませんね」
ぞわっ!
「はっ?」
何故かそこで全身に悪寒が走った。
「まあ後は社長からお聞きください」
「あっああ…」
この時、オレは体が警告していたことに気付かなかった。
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