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会社の地下駐車場に車を止め、特設エレベーターで最上階に上がる。 外から見たこの会社は、何かこう…でかかった。 高層ビルが建ち並ぶ街中にあって、かなり立派な建物だ。 今日からここで働くと思うと、緊張してきた。 何せオレは親父が何の仕事をしているか、詳しくは知らない。 人材派遣をしているのだと、言われ続けた。 不況の世の中でも、ウチの経済状況は変わらなかったのだから、儲かってはいるのだろう。 ウチの経済レベルはかなり高い。 オレが私立の幼稚園から大学まで行けるぐらいだ。 海外旅行もしょっちゅう行ってたし、ブランド物も家の中にゴロゴロある。 両親には一人息子兼跡継ぎとして、これ以上ないぐらい愛情を注がれた。 もちろん、親父の下で働く社員達にもだ。 オレも期待に応えるべく、勉強にスポーツに人間関係に頑張ってきた。 将来は一つの会社を継ぐんだ。 そこに働く人間、全ての人生を握ることになる。 ハンパな気持ちはいけないと、両親が呆れるぐらい真面目に生きてきた。 それが今、報われる。 これまでの苦労も、大切に思えた。 …今、この瞬間までは。 やがてエレベータの動きが止まった。 「こちらです。若様」 「あっああ」     
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