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「お前、童貞か?」
「………は?」
ドウテイ?
…オレ、耳、悪くなったのかな?
思わず耳の穴を指でいじる。
「いや、だから。女性と肉体関係を持ったことはあるのかと聞いている」
…そう聞いてくる親父の顔は、今まで見たことがないぐらい真面目だった。
つまり、本気、なのか。
「…何故そんなことを実の父親に告げなくちゃならない?」
だからオレも真面目に聞いてみる。
「それが重要だからだ。今後、お前にどう動いてもらうか、決めるのに大事なんだ」
「え? 話が全然見えないんだけど」
「う~ん。はっきり言わなくちゃ、やっぱり分からないものか」
親父は腕を組み、唸った。
「この会社、人材派遣であることは言ってあるよな?」
「あっああ」
だからオレは普通に一般的な派遣会社を思い浮かべていた。
「その仕事内容だが、主に性的なものなんだ」
「………はい?」
オレは自分の頭を疑った。
耳が悪いのではなく、頭がおかしくなってしまったのだろうか?
「まあ他にもいろいろな場面で、必要とされればそこに人材を派遣するんだ。だが主な仕事はセックスの相手だな」
「それって…いわゆる売春…」
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