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嬉しくない歴史だ…。
がっくり肩が下がる。
「それなりに歴史もあるし、仕事も昔からのものだ。ただの風俗店と一緒にされては、困るなぁ」
笑顔ながらも、眼が笑っていない。
つまりそれだけ重い歴史があるということか。
社会の闇…特に性欲は人間の三大欲求の一つ。
それを満たす会社を、何百年も続けてくるにはそれなりの覚悟が必要なんだろう。
オレは深く息を吐いた。
「プライベートの相手って…その、夜の相手の他にどんな意味があるんだよ?」
「う~ん、そうだね…。軽いものでは食事の相手。一人じゃ味気ないって言う人はかなりいるしね」
あっ、そのくらいか。
「後はパーティーのパートナーもあるな。買い物の付き添いもあるし、旅行の相手ってのもある」
なるほど。
一人で過ごしたくない人の相手役か。
そこら辺なら理解できる…が。
「まあ夜の相手の希望者の方が圧倒的に多いけどね。アハハ」
…それが問題だ。
「そういうのってさ、素直に風俗店に行けばいいんじゃね?」
「分かってないね、お前は」
ふと真剣な顔で、親父は声を潜めた。
「それなりに社会的地位がある人や、顔が売れている人が堂々と行けると思うかい?」
「それは…」
行けない、だろうな。
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