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「アオイとマサ君。二人はきっと恋仲になるって予感してた。アオイから海行く話聞いた時からなんとなくね」
たしかに真琴はそんなようなことを言っていた。しかし、その時のアオイは真琴の発言をからかいだと決めつけ深く受け止めなかった。真琴は真琴なりに真剣に話していたのだ。
「真琴の言う通りだね。仁一筋だとか言っておいてこんな気持ちになるなんて……。ホント私どうしようもない……。海になんて行くべきじゃなかった。店長としてただバイトの子の助けになりたかった。本当にそれだけだったはずなのに。今後もマサのことまっすぐ友達として見られるのかどうか……」
マサの元を離れてけっこうな時間が経った今でも、肌が彼の体温を覚えている。気を抜くと彼の声が頭の中に再生される。たくさん甘えさせてくれた頼もしいマサの声が。
帰ってきたばかりなのに、もうマサに会いたいと思ってしまう。会ってどうにかできるわけでもないのに。
こちらの心を見透かすように、優しい眼差しで真琴は言った。
「海に行ったのはマサ君と親しくなるきっかけがほしかったからじゃない? それより前からアオイは彼を好きになってたのかもよ」
「それより前から?」
「うん」
「真琴はどうしてそう思うの?」
「マサ君の話する時、アオイの目キラキラしてたから」
「……!」
これまで、恥ずかしいこともつらかったことも、ほとんど語り合ってきた真琴。そんな彼女に指摘されたら、もう、マサへの恋を否定できない。
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