共存できない気持ち

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共存できない気持ち

 それから二日後、マサはバイトに出た。  ラブホテルに一人残された直後は底なしの切なさを味わったが、今は何とか平常心を保てている。昨日、アパートに大学の友人数人が訪ねてきた。そこでの会話がきっかけで、気分転換の方法を見つけたのだ。  ツイッター。面倒だと思って全く触っていなかったが、中学の頃からアカウントだけは作ってあった。大学の友人達の大半が私生活の楽しい出来事や愚痴をつぶやくためにツイッターを利用しているとかで、だったらこの際自分もやってみるかと思い至った。とりあえず今の思いをツイッターに落としてみたら、期待以上に気持ちが晴れやかになったのですっかりはまった。 《二日ぶりに顔みれるー!緊張するけど楽しみの方が大きい!》  バイト前に書いたツイッター。内容はアオイへの感情そのものだった。  不思議なもので、気持ちを何かに表現するというのはこんなにも身軽になれる。アオイと顔を合わせたらどう接しようか悩んだりもしたが、ツイッターに本音を書いたのも手伝って、今日はあまり悲観的にならずにすんでいた。むしろ前向きにすら考えられた。アオイならこれまで通り店長として普通に接してくれるだろう、と。  もちろん、ラブホテルでのソフレごっこやアオイの甘えた表情は今でも胸に焼きついている。ただ、アオイとの関係を穏やかなまま保つのには自制心第一であるのもたしか。アオイが仕事をしづらいと感じてしまわないようこちらも振る舞おうと思う。裏口からスタッフルームに入ると店の制服に着替え、マサは数回深呼吸をした。  大丈夫。アオイは友達なんだ。普通に今まで通りの感じで。リラックスしてこ。
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