遮られた決意

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《アオイちゃん、この前は色々ごめんね。話があるんだけど近いうちに会える?》  話ならラインで。そう返信すると、イクトからもすぐにメッセージが返ってきた。 《「アオイちゃんの大切な物を預かってる」って言っても?》  大切な物って、もしかして……。  心当たりはひとつ。あの日砂浜で落としたかもしれない結婚指輪。マサと一緒に散々探し回ったが結局見つからなかった。イクトが持っていたのか。  イクトと二人きりで会うのは気が進まない。マサの心情を考えるとなおさら会いたくないが、そういうことなら仕方がない。近いうちに会う約束をした。  元々はマサにお礼の電話をするつもりでスマートフォンを手にしたはずなのに、気持ちが萎えてしまう。 「次マサがバイトに来たら、その時に言お……」  その瞬間のことを想像すると胸がドキドキした。裏アカを見つけてしまったことを言うべきだろうか。それは同時にマサの心を覗き見したと言ってしまうようなものだから、黙っておくべきか。 「真琴! やっぱり無理! マサにお礼なんか言えないっ」  真琴の待つ店に戻ると、アオイは声高らかに言った。真琴はうっかりしていたと言わんばかりに目を丸める。 「それもそうだね。お店のオススメだけじゃなく、マサ君自分の気持ちもぶっちゃけちゃってたもんね。そういう意味ではやっぱり裏アカかー」  のんきに言う真琴を横目に、アオイは考えた。  私もツイッターで裏アカ作ってみようかな。  そして、自分の正体を隠してマサの裏アカとコンタクトを取ってみる。ほどほどに仲良くなったところで、それとなく片思いを諦めるよう促してみるのはどうだろう。それがいいはずだ。自分のためにも、マサのためにも。  って、これはただの現実逃避だね。分かってる。私が本当に求めてるものは……。  ツイッターでマサとコンタクトを取るだなんてまどろっこしい方法ではなく、もっと直接的なやり方をする。
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