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「ーー移転しました……」
「どいつもこいつも…」
情報屋の看板には移転しましたの文字が書かれていた。
アレイズの姿はなく、トマホークは閑散とした空気が流れていた。
中心地以外の復興は厳しい状況に置かれている。
「未来に行ってコウを治す秘薬が欲しいのに……」
ーーリザイラが与えた罰はあまりにも残酷だった。
三歳になったーー名もなき子供の顔がみるみるうちにリザイラに似てきた事に精神的恐怖を覚え体調を崩した僕は農作業を中断し療養生活を送っている。
現在子供はマイラに預けている状態だ。
共に罰を受けて生きていこう。
あの頃の僕は確かにそう誓った。どんな罰だってティアラとなら乗り越えていけるーーそう信じていたんだ。
僕は三十代になり、これからの人生はより過酷なものになるだろうと覚悟していた。体調を理由に逃げるつもりはない。
けれど。
罰はこれからも僕を蝕んでいくだろう。
次の子供に会える気配はない。
選んだ道が正しいと信じていたかった。
リザイラ。
子供の次はどんな罰をーー……
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