4人が本棚に入れています
本棚に追加
/926ページ
思わぬ遭遇を経て帰宅すると大きな怒鳴り声がリビング奥から響く。
「――水無月先生!締切までに書き上げて下さい!!」
「サエサエ、友香と芽衣ちゃんが帰って来た。キミはまた明日だよ」
担当編集者・佐伯美鈴を玄関先まで追い返す。いつもの光景に友香は呆れる。
「ああ友香ちゃん!ごめんね日曜日に押し掛けて。もう締切守って頂かないと私クビになっちゃうの~!」
「佐伯さんコレ、キャンディですけど」
原宿の雑貨屋で買ったキャンディを編集者に渡す。
「ありがとう~。あ、そうだ映画のチケット二枚余ったから友香ちゃんにあげる」
前売り券の映画チケットを二枚渡して編集者は車で編集部へ戻って行った。
「芽衣に気付いてなかったよ、あの編集者さん。よっぽど忙しいんだね」
「佐伯さんしか充を扱える人はいない。料理は絶望的に下手な人だけどな……。」
友香は部屋に行かずリビングへ直行する。
「充。」
「早かったな。まだ夕方だぞ」
最初のコメントを投稿しよう!