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招かれざる客
「ギャー!」
おばあさんは飛びあがりました。
「はーい。ストップストップ」
おじさんが、手に持ったリモコンのボタンをひとつ押すと、くつがちぢむのが止まりました。
「どうです? これは、『あとちょっとできゅうくつ』……というくつです」
「もうきゅうくつですよ!」
次に、おばあさんが手に取ったのは、ピンク色のバラのがらをあしらった、むらさき色のくつでした。
「これは、なかなかしゃれていていいわね。大きさもちょうどいいわ」
おばあさんは、ほっとむねをなでおろしてそういいました。
「ひっひっひ……安心するのはまだ早いですよ」
「え?」
おじさんの笑い方に、いやな予感をおぼえたおばあさんは、とっさにそのくつをぬごうとしました。
ところが、ぬげません。
「い、い、い、石のようにかたい……」
すると、そのくつは、ひとりでにゆっくりと動きはじめたのです。
「このくつ……、ひょっとして、ローラーでもついてるの?」
「いいえ、ベーゴマがついています。昔なつかしのベーゴマを、たてのままめり込ませ……」
おばあさんは、おじさんの話をきいている余裕がありませんでした。そのくつの中にめり込まれたベーゴマが、どんどんスピードを上げて大きくまわりはじめたからです。
「私は動きたくないのに、このくつは、まったくいうことをきかないわね!」
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