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部隊を派遣しての鎮圧を断ったローランドを心配し、主張を尊重した上で孫を守る命を出してくれたようだ。ナザニエル帝国内だけでなく、ベルリング王国に帰っても彼らは影から守ってくれるだろう。
「カイルがいない間のことはローランドから適当に言い訳してもらっておく。ほら、早く行きな」
心配も憂いも理解し、塗りつぶしてくれた。どう感謝の気持ちを言葉にしたらいいのか分からなくて、フェリスに抱きついた。
「はいはい、カイルは甘えん坊だねぇ。アランといい勝負してるよ」
笑い、抱き締め返されながら、何度も頷いた。その前に……と前置きされて女官を呼ぶと、手土産になりそうなものを見繕って持たせてくれた。貴族の子女に囲まれているローランドに挨拶は出来なかったが、また逢えるのだから面倒を押し付けられた恨み言を聞くのは次の機会にしておこう。
ベルリング王国の王子の家臣で、王子に頼まれたことがあって街へ行かないといけないと適当な嘘をついて厩舎で馬を借り、門番に告げて扉を開けてもらった。
逸る気持ちを抑え、扉が閉まるまではゆっくり歩かせ、背後で扉が閉まったと同時に疾走させた。
目的地は明確。
但し、宿の名前は聞き漏らした。
何軒聞き回ってもいい。
最初から、アランを捜す目的で参加したのだ。当初に比べたら場所が限定されてる分、楽なもんだろう。
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