百々目鬼怪談文庫 竜星編 天狗の円火

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ここは怪談好きが集まる怪談喫茶百々目鬼。 今夜は怪談喫茶百々目で百物語が催される。 蝋燭が並ぶ店内を見渡すと、怪談作家を目指す女子高生、文庫瑠璃(ふぐるまるり)や、怪談好きのウェイトレス古椿彩姫(ふるつばきさき)も参加者のテーブルに着席している。 趣味の謎解きを楽しむために、民俗学部の偏屈部長、星宮月渚(ほしみやるな)も隅っこで聞いている。 まず、ウェイトレスの古椿が語る。 第1話、怪談「体温計」 ある日曜日の夕方、 その子を見たのは住宅地の真ん中の ごみ捨て場です。 捨てられた体温計で遊んでいました。体温計はガラス製の古い物で、水銀を使用した物です。 割れていたので、人体に有毒な水銀が漏れているかもしれません。 だから 「危ないよ」 と注意したのです。 でもその子はペロッと舌を出して水銀を舐めると、ニヤリと笑って走り去ったのです。 月曜日に先生に訊きました。 「昨日××町のごみ捨て場で…かくかくしかじか。最近、水銀中毒で亡くなった男の子はいませんか?」 「きっと亡くなったB君だわ。お医者様によれば風邪を拗らせたのですって。本当は水銀中毒だったのね」 「えっ、いつですか」 「先週の金曜日よ」 「じゃ…じゃあ、日曜日に見た彼は既に死んでいた!?ゆゆゆ幽霊ですか?」
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