お風呂掃除と甘い罠

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お風呂掃除と甘い罠

「さっちゃん、さっちゃん」 「どうしたの?真白」 キッチンで皿を洗いながら夜ご飯を考える皐月の前に現れた真白。 「あのね・・・今日はお手伝いしたいの」 「お手伝い?」 「うん、お風呂掃除とか・・・したいの!」 思いついたように話す真白。 しかし、皐月は気づいてしまった。 真白の口の周りについたチョコレートに・・・。 「真白、まだお昼すぎだよね。今日のおやつはまだなはずなんだけどなあ? チョコがついてるのはなんでかなあ?」 真白のおやつは午後3時と決めている。 それは玲二と決め家族にも連絡済みである。 真白の体調管理は家族一員となり取り組んでいるはずなのだが・・・。 「ないしょなの。お願い、お風呂掃除したいの・・・だめ?」 お風呂掃除に固執する真白に、今日のお風呂当番は海斗だったことを思い出す。 「お風呂掃除できるの?」 優しく問いかける皐月。 「うんっ!前にかいにぃに教えてもらったから大丈夫なの!」 まかせてっと言わんばかりの表情に「じゃあお願いね」と頭を撫でる。 真白がリビングからいなくなると増大した海斗への苛立ちに大きくため息を吐く。 真白をお菓子でつるなんて・・・。 悶々と海斗への苛立ちが増す一方、 「さっちゃん・・・」 今にも泣きだしそうな真白の声でふっと我に気づく。 そこには、 可愛そうなほどべたべたな濡れ鼠こと真白が立っていた。 「どうしたの?べたべたじゃない?」 慌ててタオルで拭く皐月に抱きつく真白。 「お風呂洗った後にシャワーで流そうとしたらべたべたになっちゃったの・・・」 1度や2度教えたくらいじゃ覚えられないほど天然な性格の真白の少しだけ癒された皐月であった。 ※補足※ 「お帰りなさい海斗」 玄関で海斗を待っていた皐月は満面の笑みで迎え入れる。 「かいにぃ、おかえりなさい」 着替えた真白が海斗に近づく。 「真白、まさかお前皐月に言ったんじゃねぇだろうな?」 小声で真白に確認する海斗に、 「今日は眠れないと思っておいたほうがいいかもね?」 と皐月が軽々と真白を抱き上げる。 その日、本当に眠ることができなかったのは言うまでもなかった。
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