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拾っちゃダメなの?
「れいにぃちゃん・・・じゃーん」
「うわぁっ・・・どうしたんですか?その子犬」
「拾ったの」
薄汚れた薄茶色の子犬を両手で抱え嬉しそうに見せる真白。
「可愛いでしょ?れいにぃちゃん、連れて帰ってもいい?」
「犬なんて飼ったことないから駄目です」
「お願い・・・なんでも言うこと聞くから」
「だ・・・駄目です。可愛そうですが返してきなさい」
「拾っちゃダメなの?箱に拾ってくださいって書いてあったのに・・・返さなきゃだめ?」
今にも泣きだしそうな瞳で見つめる真白。
くぅーん・・・・。
それを知ってか知らずか小声で鳴き見つめる子犬。
「この子もお家に行きたいって・・・」
子犬の気持ちを代弁し話し出す真白に思わず悶える玲二。
あぁ、動画に収めたい。
いっそ写真を引き伸ばし部屋のあらゆる場所に飾りたい。
「れいにぃちゃん・・・だめ?」
「しょうがない。今回だけだからな」
「うん。れいにぃちゃん大好きっ」
本日最上級の笑顔に玲二は眩暈がした。
頭の中で大好きがこだまする。
今日が命日でもおかしくはないと思う一日であった。
※補足※
「真白、ペットショップに行こうか」
「うん行く」
子犬のおかげで真白との時間が増え、また真白から玲二に話しかけることも多くなった。
全て子犬のおかげである。
「子犬の名前は決めたのか?」
「うん、レマだよ」
「なんでレマなんだ?」
「れいにぃちゃんの”れ”に真白の”ま”でレマにしたの」
その日からレマを異常なほど可愛がる玲二がいたのであった。
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