【月】始たりの、ミルフィヌナside玗和

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【月】始たりの、ミルフィヌナside玗和

はなちゃんが着替えに行った埌も、内藀はただ笑い続けおいる。 「うるさい、笑うな、内藀っ  アンタの方こそ、どうしたのよ  こんなに遠くたで、わざわざケヌキを買いに来るだなんお。  しかもミルフィヌナばっかり、個っお。  ...アンタ、ミルフィヌナマニアか䜕かな蚳っ」 するず圌は、かなり狌狜した様子で蚀った。 「なっ  䜙蚈な埡䞖話だっ  俺がミルフィヌナを䜕個食おうが、俺の勝手だろうがっ」 「䜕よ、内藀。   たさかそれ個ずも、マゞで䞀人で食べる気だったの」 幟分呆然ずしながらそう聞くず、内藀は真っ赀な顔で、酞欠の金魚の劂く口をパクパクさせた。 その顔はい぀も教宀で芋かけるクヌルなダツからはかけ離れおいお、めちゃくちゃ可笑しい。 ふふヌん、なるほどね。 男が䞀人でケヌキを買いに来るのが恥ずかしかったから、わざわざ隣町たでやっお来たっお蚳か 。 それに気付いた私は内藀の方を真っ盎ぐに芋据え、ニダリず笑っお問い掛けた。 「ねぇ、内藀。   クラスの皆には、こそこそずケヌキを買いに来た事、蚀われたくないわよねぇ」 するずダツの顔が、䞀瞬のうちに真っ青に倉わった。 私は吹き出しそうになるのを必死で堪えながら、笑顔のたた告げた。 「...いいわよ、内緒にしおあげおも。  ただしひず぀だけ、亀換条件ね。   私の家がケヌキ屋で、しかもこんな服着おお店を手䌝わさせられおるっお事、絶察に内緒にしお頂戎。」 するず圌はかなりビックリした感じで切れ長の瞳を倧きく芋開き、それから鞚鵡返しでポ゜リず呟くみたいに蚀った。 「えっ家の手䌝いっお 。」 「ねぇ、内藀。アンタこの店の名前を芋おも、ただ気付かない   ホント、鈍い男ね。  たさか私が奜き奜んで、こんな䌌合いもしないメむドみたいな恰奜をしおるずでも思っおんの」 そしお私は、ダツが賌入したミルフィヌナが䞉個入った箱を手提げ袋にいれ、カりンタヌ越しに差し出した。 するず内藀はその袋を反射的に受け取り、それをじっず芋詰め...愕然ずした衚情のたた呟いた。 「『PATISSERIE KISHIBE』 。  マゞか。   ここっお、岞郚の家だったんだ。」 それからダツは䞀転、心底嬉しそうに笑い、蚀ったのだ。 「...じゃあ今床から、遠慮なく買いに来れるじゃん。  だっお俺のケヌキ奜き、岞郚にはもうばれちゃったんだからさぁ」 「 はぁぁぁあっ」 私の倧声に驚いたのか、厚房から母さんが飛んで来た。 「ちょっず、玗和っ  お客様の前で、䜕倧きな声を出しおるのっ」 するず内藀は、さっきたでずはガラリず態床を倉え、い぀もの様に玳士スマむルを浮かべお蚀った。 「はじめたしお。  僕は圌女ず同じクラスの、内藀ず蚀いたす。  すみたせん。  僕が岞郚さんを驚かせおしたったものですから...。」  䞀䜓誰が、『僕』だっお さっきたで内藀、自分の事、『俺』っお蚀っおたじゃんっ しかしダツの笑顔を芋た母さんは、ほんのりず頬を染めた。 ...恐るべし、むケメンパワヌ。 「ふざけんじゃないわよ、内藀っ  もう二床ず、うちの店に来んなっ」 私は再び、雄叫びをあげた。 しかし内藀は䜕凊吹く颚ずいった感じで、静かに埮笑んだ。 「こら、玗和っ  クラスメむトずはいえ、お客様に察しお倱瀌でしょうっ  ...ごめんなさいね、内藀君。  たたい぀でも、買いに来おね。」 それから母さんは、おたけだず蚀っおチョコチップクッキヌをダツに手枡した。  内藀は、いいんですか、ずか蚀いながら、ちゃっかりそれを受け取り、先皋の玙袋ぞず玍めた。 「もう、母さんっ  そんなダツにサヌビスなんか、する必芁無いわよっ  私が䜜ったクッキヌ、勝手に内藀なんかにあげないでっ」 私は倧慌おでそう蚀ったのだけれど、それを聞いた内藀は、ニタリず䞍気味な笑みを浮かべた。 「 ぞぇ。  これ、岞郚さんが䜜ったダツなんだ。   それは、味わっお食べないずね」 「 なっ  ふざけんじゃないわよ、内藀っ  さっさずそれ、こっちに返しなさいよっ」 しかし次の瞬間、内藀はたた胡散臭いくらい爜やかに埮笑み、ペコリず綺麗なお蟞儀をひず぀しお、蚀った。 「ありがずうございたした。  じゃあたた、来たすね。」 そしおダツは䌚蚈を枈たせるず、ご機嫌で店を埌にしたのだった 。
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