第二章 家族

61/69
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/176ページ
 (おばあちゃんになって、体質が変わったのかしら)  それと、不自然なのは頭髪だった。  この時代にいる堀越の年齢は七十六歳、なのに白髪が一本もない。  染めているのなら地毛がわかるはずだ。  その意味するところは、堀越はカツラをつけている。  女性ならいくつになっても、頭髪のことは気になるものだが、しかし、美樹は過去の《自分》なのだ。抜け毛の原因が食生活のみだれなら、日頃、服装の乱れに厳しい堀越だ。隠したりせずに、《あんたのせいでこうなのよ、規則正しい生活をしなさい!》と、注意するに決まっている。  (そうしないのは、まさか?)
/176ページ

最初のコメントを投稿しよう!