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「くそお! やっぱり運命ってあるんだ! どうがんばってもダメじゃんか!」
今思えば中二病むきだしの負け惜しみだが、それからの彼女はソフトボール部のドアを叩くことなく、楽隠居を決め込んだ老人のように茶飲み三昧を送っている。
きっかけはささいなことで、入学して早々、新入部員の勧誘をしていた茶道部の先輩に大好きな和菓子で釣られたのが運のつき。やたら緑茶が渋いのと、足がしびれたのにこりて、スタコラ逃げようとしたら、部長が、「おや、坂下さん、入部希望?」と、目を輝かせたのだ。
(あのときは災難だった)と、今でも思う。
胸がペッタンコで男みたいな容貌だから男子生徒からイマイチ人気はないが、中学の頃は女生徒からは宝塚の男役のように絶大な人気がある。他校生のあいだでもファンクラブがあるくらいだ。
それを茶道部の部長に目をつけられたのだった。
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