ラノベでいいの？

　新入部員歓迎会での帰り、抹茶でガポガポになった腹をなぜながら、「そーいえば、今朝はカエルの夢を見たもんな」と、美樹は愚痴ったものだ。

　そのとき、夢で見たのは抹茶色をしたカエルだった。

　カエルはおたまじゃくしが大人になった姿――よって夢占いではカエルは自分に変化が訪れる暗示とされている。

　（そういえば、勧誘してきた先輩も、どっかカエルに似ていたよなぁ。目が大きくて、口がでかくて、にきびもあったし）

　（このまま流されるだけの生活を送っていたらヤバイ）と、思うものの、どう自分を改革すればいいかわからない。

　で、スポーツ選手だったときのくせで、メンタル維持のために《運勢だけでもよくあれ》と縁起かつぎに夢占いに頼り、ジンクスにこだわる毎日だ。

　近頃、美樹は朝起きると週刊誌やパソコンでインターネットを使って、夢の意味をアレコレ調べるのが日課になっている。高校の入学祝に最新式のデスクトップ型を買ってもらったので情報集めには不自由しない。世界初のＣＤ・ＲＯＭを採用したコンピュータだ。