ラノベでいいの？

　誕生日の前夜、美樹は大きな白い蛇の夢を見ていたので、（やっぱり、夢占いは当たるわぁ～）と、確信した。それからは競馬場かパチンコへ通うオヤジのように、「でてこい！　白蛇！　いでよドラゴン！」と、念じながら眠ることにしている。

もとはピッチャーという勝負師、運が悪ければ悪夢を見てしまうというスリルが楽しかったのだ。

　――白蛇は金運アップを暗示し、龍はラッキーを知らせる使者で、（もし、夢で龍の背中に乗って、空を飛んだら、ぜったいに宝くじを買う！）と、本気で思っている。

　部活を終えると中学から通っている進学塾へ週四日ですごし、自宅は風呂に入って寝るか歌謡番組を観るか、チビッと日曜にコンピュータでテレビゲームをやるだけの場所と化していた。

　ちなみに、この四月に新発売された携帯用ゲーム機、ゲームボーイがほしいので、夏休みにバイトしようかと考え中だ。

　家族と会話するのは朝ごはんのときだけ、その時間が苦痛だった。