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一九八九年。
どの会社も新人集めに躍起で、この好景気がまだまだ続くと経済学者でさえ太鼓判を押していた時代だ。
だれしも(まあ、なんとかなるだろう)という楽観的な気分でいられたし、就職氷河期なんてものがくるなんて考えもしなかった。
ましてや失われた二十年や三十年が来訪するなんて、想像もしていない。
そもそも青春ど真ん中の十六歳なのだ。ややこしい経済など知るわけがない。バブル時代の風物詩、ディスコのお立ち台や扇子踊りでさえ、どこかの世界のできごとにすぎなかった。
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