ラノベでいいの?

37/46
前へ
/176ページ
次へ
 なんせ、ふだん目にするのが、のどかな田園風景なのだ。  美樹はスポットライトやミラーボールよりも、下校の途中、田んぼの水に映った朱色の夕日をながめるのが好きだった。  鉄塔が並ぶ道路の向こうにはあぜ道が続き、青く育った無数の稲穂がそよ風に揺れる。  この街に住んでいれば、ごく普通に目にする風景だが、美樹にとって、これが故郷で、どこにでもあるありふれた景色に愛着を感じていた。  「噂じゃ、もうすぐ、この田んぼも開発でなくなるっていうけど……。やだな」  そう美樹は呟いた。
/176ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加