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ちなみに冬のあいだはスキーにはまり、松任谷由美のポップスを聴きながら、映画、『わたしをスキーに連れてって』の世界にあこがれて、ほんとうはスポーツウーマンよりも、恋に一途な女の子、主演女優の原田知世(はらだともよ)になりたい美樹だった。
これは親友の沙耶にさえ秘密のトップシークレットだ。
ひそかにハウスマヌカンにあこがれているのも、だれにも相談できない秘密だった。
ちなみにハウスマヌカンとはブランド専門の洋品店の店員のことだが、最新ファッションを自らが着こなして品物を薦める。一九八〇年代の花形の職業だった。
(もし知られたら沙耶から大笑いされるに決まっている)と、美樹は警戒している。
原田知世にしても『だっさー、今頃、《わたスキ》かよ! おくれてる~、今は《彼女が水着にきがえたら》だぞ』と、からかわれるのは必定だった。
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