第一章 出発

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 なんだかモヤモヤした気分で、岩井が住むマンションに案内された。  彼女はかなりの高給をもらっているらしく、オートロックの高層マンションの二十階に部屋があった。  「うわ、でかいマンション、あの~先生は?」  「先生はべつの場所に住んでいます。メンテナンスができるまで、ここで寝泊りしてもらいます。遠慮なく入ってください」  高速エレベーターで二十階へあがり、ドアをあけると綺麗に整理(せいり)整頓(せいとん)してある部屋に通された。  大きな薄型テレビと新品のゲーム機が並べてある。ゲーム機は新品のケースに入ったままで、あきらかに本人は興味がなく、美樹のために買ったらしかった。  さっそく「やっていい?」と訊くと、「どうぞ、でも夜間はイヤホンをお願いしますね」と、返事された。  しかし、よく見れば、どう遊べばいいかわからない。  「ありゃ、ソフトのカセットがない」  「ちょっとまってください」と、岩井は本棚の上のソフトを持ってきて、機械にセットした。  「あ! そこからあけるんだ、へえ~、この時代は円盤なんだぁ~」と、岩井がなにかするたびに美樹は感心した。
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