10years ago

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小学生の頃に経験した初恋なんてものは大抵思い通りにいかないものだし所詮子供同士の恋だ。 気に入らないことがあれば後腐れなくすぐに別れたり、はたまた復縁を迫られて簡単によりを戻したりなんかもする。 だけどそんな小学生の恋でも俺にとっては当時、災難続きだったといっても過言ではない。 ***** 「武松ー!」 凄くというわけではないがある程度整った容姿に生まれ勉強も運動も出来たことから物心ついた頃からある程度はモテた。保育園でも小学生でも。 「今日もサッカー部の練習あるだろ?一緒に行こうぜー!」 帰宅の準備を済ませて教室を出ると司がサッカーボール片手に待っていた。 「わり。俺今日部活やすんだんだわ。また今度な。」 「まじかよー」 片手を上げて謝罪をし挨拶もそこそこに校内を出るために階段へ向かう。オープンクラスと言われるうちの学校は大々的なリフォーム?によって新校舎はどの教室にも扉がない。また校舎の造りの関係上6年生のフロアに4年生が1クラスあるもんだから人探しはいろんな意味で大変だ。 足早に下駄箱へ向かい自分の一つ隣の靴入れを除くとそこにはすでに内ばきが置かれていて時すでに遅し。彼女はすでに帰ってしまったらしい。 こうなってしまえばせっかく部活を休んだ意味もなくなる。その日は大人しく家に帰りやることも特に無いので出されていた宿題を早々に終わらせてベットでゴロゴロとゲームをしながら過ごした。 ****** いつの間にか眠ってしまっていたらしい。あたりはすでに暗くなりカーテンを閉めていない窓からは月明かりが差し込んでいた。 とても懐かしい夢を見ていた気がする。 すごく、すごく大好きだった人とまだ何も知らない笑顔でたくさん笑いあえていたあの日々の夢。 体を起こすと隣には見慣れた顔があって私をここまで迎えに来てくれたことを思い出す。時計を見ればまだ遅い時間ではない。 眠ったまま繋がれた左手を優しく解いてメイクを落とし、軽くシャワーを浴びてから喉が渇いたので部屋を出た。 まさかそこでもう一度君の姿を目にすることになるなんて、想像するわけがない
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