追憶と現実

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その日から雪野が頭から離れなくなった 高校に入ってからは思い出しもしなかった頭の隅の出来事さえも鮮明に蘇る もしかしたら今でも俺の事…ってそれはないな 気持ちがあったらあんな風に顔を背けたりはしない こんな風に考えられる辺り、俺も成長したんだな…と思う 勉強中もテスト中でさえも雪野が現れては消えなかった それでも順位を下げなかったのは奇跡だと思う そんな成績表を眺めながらホッとしていた昼休み、クラスの野郎どもが突然騒ぎ出した 「すっげ可愛い!ってか綺麗?」 「これ本当にお前の彼女?って一緒に写ってるもんな」 中心にいるのは仲のいい部活仲間 名前は陽太 「何?彼女出来たんなら言えよ!!」 と、そいつの携帯を覗き込んだ が…その瞬間体が固まり、血の気が引いていくのが分かった 画面の中で楽しそうに笑う女の子 それが…雪野だったからだ 今思えばあれが、初めての失恋だったかもしれない あの当時も付き合っている彼女はいた 高校生なりに真剣に付き合っていたが、それから暫くして 「もう…私じゃないんでしょ…」 と、別れを告げられた 仕方がない…手の届かない相手を好きになってしまったのだから
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