【復元されたコピー作品】ほろ苦いコーヒーの後は

追憶と現実

雪野に会えるのは陽太の携帯の中

自分から「見せて」とねだった事もないし、陽太も自分の彼女を周りに見せびらかす事もしなかった

けれど、たまに見たくなり、陽太が1人で携帯を眺めている時に気付かれないように覗き見しては

胸がつかえる様に痛くなった

本当は雪野の側にいたい、近くにいて笑顔を見たい、触れて…全てを俺の物にしたい！！

その何もかもが叶わないのだから

それからと言うもの俺は、近づいてくる女と拒む事なく付き合う様になった

雪野への想いをはぐらかす様に

けれど、全て「私じゃないんでしょ」と、俺がフられる形で終わった

雪野と陽太は順調で深く雪野を支えているのが分かった

基本、真っ直ぐで純粋な奴だったから、こいつなら雪野を任せてもいいかもしれない…と思ったのも確かだ

けれど、陽太は女が切れない俺の事を恋愛マスターか何かかと思ったらしく、事あるごとに相談をして来た

「彼女…1人で抱え込んでるみたいなんだ…深い…闇みたいなのを…何とかしてあげたいんだ！」

と、前向きな話から

「最近会えてなくて…寂しがっているみたいなんだ…」

と、感傷的な事まで

その度に俺は

「お前なりに支えていけばいいんじゃないか？」

と、当たり障りなく返した

早く別れて欲しい…とは思わなかったけれど

雪野の話を聞く度、心の中が深くえぐられていった