追憶と現実

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小学校の頃は一緒にバカやったけど、中学では疎遠になり、高校に入って久々に会ったら変わっていて… と、いきさつを一通り話した 流石に昔告られたとは言わなかったけど …まぁ、言った所でもう時効の様な話だ 「…すまなかった」 陽太は頭を下げた 今までの自分の行い全てを詫びる様に 俺の気持ちを知っていたのなら雪野の事を話したりはしなかったのだから 「いいんだ、お前なら雪野を任せていいって思っていたから」 昔の事は気にしないで欲しい 「だから…続いて欲しかった」 陽太は頭を上げたが表情は浮かないまま 「おれは直樹の気持ちにも答えられなかったんだな…」 「だから気にしなくていいって」 「…って言うけどなぁ…」 陽太が頭を抱えたので 「だから今まで言わなかったんだよ、それに言っていたら雪野から身を引いたか?」 「いや、それはない」 と、直ぐに否定したので思わず笑ってしまった そして陽太もそんな自分に気づいて笑った 「まぁ、今日は飲もう」 残っていたグラスを再び掲げると、勢いよく飲み干し、2人で笑った 飲んだ帰りに 「今は無理だけど…いつか時が来たら応援するな、直樹の事、次はお前の番だ」 と、言われたのを覚えている そんな陽太の顔は星空の下、何処かスッキリと澄んでいた
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