僕曰く(起)

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僕曰く(起)

何事も突然やってくる。宝くじの当たりもお菓子の当たりも、良いことも、悪いことも。そして俺にもそんな突然がやってきたようだ。 「遅いな~春のやつ何してんだ…」と待ち合わせ場所で彼女が来るのを待っているのが俺、佐藤 英治。今年高校に入ったばかりの俺には彼女がいる。それが今まさに待ち合わせをしている同じクラスの鈴木 春。なんで付き合い始めたかって?特にドラマがあった訳じゃない、同じクラスで友達には優しくいつも陽気だけど落ち着いてて、そんな彼女と隣の席になって好きになったから告白してOK貰って今に至る。なんてことはない、ありふれたでき方だ、そんなことを紹介してるとどうやら来たみたいだ。「俺もさっき来たばっかだけど春が遅れるなんて珍しいな、なんかあったのか?」実は今日が楽しみで待ち合わせの十五分も前に来たことを隠して聞いてみる。「僕曰く君の彼女らしい…」は?あまりにも予想してなかった返答に思わず反応が遅れた。「どうしたんだ春?もしかして、遅れたこと気にして冗談でも言ってる?怒ってないから行こうぜ。」そうだ機転の利く春のことだ、きっと何か言って場を和ませようとしてるに違いない。そう思って返した言葉にまたもや予想外の応えが返ってきた。「僕は春じゃない、僕は山下 紗綾。その、僕は二重人格?みたいな物らしい。」どうも、演技をしてるようには見えない。これが演技なら彼女は今すぐにでもドラマに出れるだろう。「えっと、紗綾さんでいいのかな?その~二重人格みたいなってどういうこと?春じゃない?」とにかくは事情を聞いてみることにした。「朝起きたら春っていう子の家にいて、春っていう子の体に私がいてメールをみたらこの場所で君と待ち合わせをしてたみたいだから…」どうやら本人も事態を飲み込めていないみたいだ。この先いつ彼女が春に戻るか分からないだからとりあえずは俺は彼女に提案した。「春の親にはいずれ君が春でないことに気付かれる。だから、紗綾は俺とバレた時は親の前で以外春になってもらうことになるかもしれない。それでも大丈夫?」すると彼女は、「うん、僕はそれで構わないけど、春っていう子がどんな子かも学校の人がどんな人かも分からないから出来れば君に教えて貰いたい。」意外と冷静な判断に驚かいたが彼女の応えに俺はどこか安心した。「うん、今日は一旦お互いの家に帰ろう。春のこととかクラスのこととかはメールで送るよ。」
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