24人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
君との日々
君の想い出はいつも鮮やかだ。
君を初めて見たのは、親友のカズ兄の写真だった。
君はまだあどけなさの残る少女で、
ふり向いた時にカズ兄のカメラに気づいたのだろう。
少し長めのおかっぱが宙に舞い、細い首を際立たせていた。
はにかむような笑顔の君は、初々しく咲き初める花の様だった。
僕も君と同様にまだ子供だったが、どきんと胸が高鳴るのを感じたんだ。
カズ兄は君をとても大切にしていて、君の話しをいつもしていた。
直接会ったのも、カズ兄が僕のために君を呼んだ時だったね。
すべての国民が貧しい時代だった。
その時の君は、手伝っている裏の畑の作業を終えたところで、
泥だらけだった。
他人の僕がいるのに気づいて、慌てて袖で顔をぬぐったね。
そのしぐさも素朴で可愛らしくて、
僕はこの時、絶対君をお嫁さんにしたいと思ったんだ。
あの時は14歳くらいだったかな。
最初のコメントを投稿しよう!