閑話1:異世界事情

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閑話1:異世界事情

その世界は、人類滅亡の危機に瀕していた。 太古の昔から人類を襲う、『魔族』と呼ばれる存在によって。 魔族を束ねる存在、魔王は、一日もかけずに大陸を更地にできるような化け物だった。 歴史の中で、どれだけの文明がその存在によって滅ぼされたことか。 ある時、創造神と呼ばれる存在が現れ、当時世界最大の規模を誇っていた人間の国の一つに、一振りの剣を与えた。 後に聖剣エクスソードと呼ばれるそれは、使用者を自分で選定し、選んだ人間に魔族に対しての特効能力を扱えるようにした。 その人間は、魔族たちを圧倒し、魔王さえも倒すことに成功した。 人々はその人間を勇者と呼び讃えた。 しかし、その人間が寿命を迎えて400年後。 ……また、魔王が現れた。 魔王は、何度倒しても復活する。 それを人々が理解したのは、4度目の魔王が勇者に倒されてからまた400年後。5度目の復活を迎えた時だった。 そして、何度目だったか。数えきれないほど同じ展開を繰り返し……ある時、復活した魔王が急激に強くなっていた。 過去に記録され続けていた魔王のステータス記録より、桁が2つ3つ違っていたという。 選ばれた勇者が聖剣を手に倒しに向かったが……魔王は死なず、聖剣だけが戻ってきた。 それは、そのあと新たにまた勇者が選ばれても、変わらなかった。 そしてそれを4回は繰り返した頃……とうとう、勇者が現れなくなった。 勇者は魔王が復活してから4日以内に神託を受け、聖剣の前に現れる。それが、2度目の復活時から変わらない法則だった。今回も、聖剣が戻ってきてから4日で新たな者が現れていた。 しかし、数年たっても現れず、既にいくつもの国が滅亡していた。 1度目の時に創造神によって聖剣を託された大国、エクセリア王国。その国王は、一つの決断を下した。 太古の昔から存在し、一度も成功例はない禁術…… ……異なる世界の人間を召喚する魔術、それを使うと。
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