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殺った、と思った。
七、八メートル先の倒れ行く肢体を見ながら確信した。
ナイフで肉を抉るような、荒縄で柔い肌を絞めるような、自らの拳で地面に叩きつけるような、そんな具体的なものではない。
ただ人差し指から放たれた鉄の塊。
今朝方指先で転がしたばかりの小さなそれが、目の追いつかない速さで、貫いた。
雨の打ち付けるアスファルトに、全ての音はかき消される。右手に持つ一見するとおもちゃのような拳銃から出た強烈な発砲音でさえ、一瞬で鈍い雑音と化した。
これだ。
ずっと追い求めていた感覚は、これだったんだ。
力の抜けた右手を小刻みに震えが襲う。
冷たいはずの地面から熱が湧き上がってくるかのように、体の奥深くが、熱く焼かれた。
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