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「ぅ、っ……」
ぴちゃぴちゃと、室内に水音が響く。
寝間着用に持ってきた長袖のTシャツの裾を自分でわずかに持ち上げて、きつく目を閉じる。
ヘソに差し込まれた舌が独立した生き物のように動いて、焦れったさに顔を背けた。
「日暮くんはさ、どうして私を殺そうと思ったの?」
「え、あ……気づいたら、社長の部屋に……ん、向かって、て」
それがこの間の夜のことだとわかると、働かない頭でなんとか記憶を呼び起こす。
あの日はそう、なぜだかわからないが、東堂の元に向かわなければいけない気がしたのだ。結局それは月のせいだと自分では結論づけたが。
今の日暮に抵抗は無い。
ただ素直に東堂のやることに身を任せて、軌道の読めない愛撫に体をうねらせる。
「ふぅん、おかしいと思ってたんだよね。日暮くん、銃持ってないはずなのに」
「……え?」
「まさか首を絞めに来るとは思わなかったよ。ほら、日暮くんは銃殺大好きだから」
顔を上げてにこりと微笑んだ東堂に、閉じていた目を見開く。
「な、ん……で」
「ん?なんでだろうね」
驚愕に掠れた声は、それ以上は続かない。
「強いて言うなら、海は広いってことかな」
「な、ん、ぁ……っ」
どういう意味だと問いただす前に、東堂の指がTシャツの薄い布越しに胸の突起をかすめる。
小さく上がった声に気を良くしたのか、東堂の長い指がくるくると周辺をなぞるように動き始めた。
「あ、ぁ……ゃ」
時々引っ掻いたり押しつぶしたりして反応を楽しんだ東堂は、おもむろにTシャツをめくり上げて今度はそれを直接口に含んだ。
「まぁ今はそんな事どうでもいいんだ」
唾液で濡れててらてらと光る先端にふっと息を吹きかけると、ボソリとそう呟き日暮の体に指を這わせた。
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