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「あ、そうだ。せっかくだから口でして貰おうかな」
胸までズリ上げられたぐちゃぐちゃなTシャツに、歯型と唾液でまみれた体。
肌を余すことなく舐められ全身で息をする日暮の腕を引っ張り上げて、東堂と向かい合うように座らせる。
ばんざいと言って脱がされた日暮とは対照的に、着衣の乱れの一切ない東堂が大きな枕を背もたれにして体勢を楽にした。
「今日すっごくイライラしててさぁ、日暮くんに慰めて欲しいな」
生々しい傷跡と相まって、火照った体は随分と血色がよく見える。最低限の肉がついただけの細い日暮の体は、東堂の伸ばされた腕により簡単に足の付け根あたりに顔を埋める形にされた。
室内が適温に保たれているためあまり厚さのないシルクのパジャマは、その布越しでも脈打つ東堂自身をはっきりと感じられた。
「ん……っふ」
サリサリと首筋を撫でる東堂の手に導かれるようにして、日暮は布越しに口付ける。
柔らかく食んだり途中からは手も使って器用に奉仕するが一向に反応のない東堂に、日暮は恐る恐る視線を上げる。
「……下手くそだなぁ」
合わさった視線に腰が引けそうになるが、首を掴む東堂の手がそれを許さない。
「いいや、直接舐めて」
興味を無くしたようにそう言い放つ東堂に、日暮は慌ててズボンのゴムに手をかける。初めは舌先で先端を、両方の手では根元を扱いてゆっくりと、いざ意を決して口に含もうとしたとき不意に頭をがしりと掴まれた。
「焦れったい……慣れてるんじゃなかったの」
「ん、んぅ……んん!」
頭を押し付けられ、先端が喉に触れるほどに深く東堂が入ってくる。
「ぁ、ちが……慣れてなんか、な、い」
一方的な動きの合間に緩んだ腕をどうにか押しのけて、必死に弁解する。
慣れてなんかいない、男のモノを咥えるのなんて初めてだ。
「……汚いって、言ってたじゃないか」
「え……?」
「体、汚いって」
汗が入ってしみる目をなんとか開くと、訝しげに眉をひそめる東堂がこちらを見ていた。
「あ、ちが、俺の体、傷だらけで汚いから、ぁ」
なぜだかその視線にぞくりとして、許しを請うように東堂の胸に縋る。
目の前に見えた東堂の喉元が、ゴクリと音を立てて上下した。
日暮の髪から落ちた汗の伝うその様が、言いようのないほどに色っぽくみえた。
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