序章

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序章

「名は体を表す」 どこかで聞いたことがあるだろう。名前がその人のことをよく表している、というものだ。 だからまっとうな大人は自分の子どもに名前を付けるときにあーでもないこうでもない、と頭を悩ませるのだろう。 この言葉に対して反論はあるだろう。「美」という字が入っているのに見る人の目を奪うような美しさではなかったり、「智」という文字が入っているのに成績が良くないとか。 しかし待ってほしい。容姿的な美しさではなく内面的な美しさはどうだろうか?はたまた成績が良くなくても物事をうまく解決できるのはどうだろうか? 日本には言霊というものがあるがそんな名前ひとつにも言霊が宿っているのではないかと思う。だから名前は大事なのだ。 かくいう俺の名前は「ひとり」という。漢字で書くと「独利」。煩わしいことを避けて独りで行動し、時間を効率的に使って利益を上げる。こんなことを理念にしている俺はまさに名は体を表す体現者だろう。 ちなみに両親は俺に変わりのきかない唯一の人になって、世界の役に立ってほしいと願ってこの名前をつけたようである。物事は思い通りということを我が両親は子どもが大きくなるまでわからなかったことになる。 しかし心配しないでほしい、俺は名前の通りに育っている。授業はひとりで受け、重要な授業にしか参加せずに効率的に単位を取得している。 両親よ、あなたたちの名前の付け方は間違っていない。名は体を表して、言霊が宿っている。ソースは俺、反論は認めない。
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