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あたしの場所
明るい光を感じて、ゆっくりと開けた。一番初めに見えたのは真っ白な天井。ここが何処なのか認識する前に声がかかった。
「ねーちゃん!!」
弟の声が聞こえて視線を向ける、家族の顔があたしを覗き込んでいた。
「あぁっ!よかった。よかった」
泣き崩れていた顔を微笑みに変えてお母さんが言った。
「もう、っ、」
お父さんの泣いた顔初めて見た。
「心配かけさせんなよ!馬鹿っ!!」
弟は涙でぐしゃぐしゃになった顔をさらに歪めた。帰って来たんだ。ここに。
あたしの目にも涙がたまって、視界がぼやける。なにを馬鹿なことを考えていたのだろう、自分の居場所はもっと遠い何処かにあるなんて。あたしの居場所はちゃんとここにある。涙がこぼれた。ここまでならないと自分の居場所が分らない自分に腹が立つ、それでもここに帰って来れたことが嬉しい。
「大丈夫?」
「どこか痛むのか?」
あたしは幸せものだったんだ。気づかせてくれてありがとう、救ってくれてありがとう、あなたがいなければあたしは多分、あの電車に乗って何処までも何処まで行って、ここへは戻って来れなかった、あなたには2回も助けてもらった、ありがとう、ありがとう、ありがとう。
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