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星の終わり
その日、世界は終わりを迎えようとしていた。
もはや生き物が暮らせる場所はこの星には無くなり、神話以来の方舟が、今度は神様によって用意された。
刻一刻と終末へ向かう星の一部、残された安全な場所にこの世界の全ての種を集め、天より降りた神は言った。
「申し訳ないが、この方舟には次の世界に必要最低限の、100種類の生物しか乗せられない。」
大きなどよめきが地上に響き渡る。皆の不満も当然というもの。しかし、神様は気にせず続けた。
「100種といっても、1種につき雌雄1組ずつが基本となる。雌雄のない生き物も2匹1組ずつだ。」
「植物については種子を10個提供で、全種対応するつもりだ。」
さらに、
「まだ終わりまで時間はある。よってこれより私が面接を行なう、呼ばれた生物から順にこちらへ来て欲しい。」
「なお、自主的に絶滅を選んでも良しとする。生き残るか星と共に終わりを迎えるか、私が創り上げた君たちには、最後に選択の自由を与える。」
「こんな事態を招いてしまい申し訳ない。全ては私の責任。新たな世界を平和にするためにも、最後まで役目を全うする。」
神様もこんなことはしたくなかった。だがこれが最善であり、未来へ命を繋げる唯一方法だった。
無数の生き物達は、いつの間にか静まり返り、己の行く末をただただ祈るしかなかった。
中には、神様の言葉通り自ら絶滅を選ぶ生き物も少なくなかった。
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