4・初めての一夜……

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気を取り直し,彼女はとりあえずリビングのソファーに落ち着いた。ジャケットとバッグをソファーの上に投げ出し,浅めに腰を下ろす。 ……やっぱり,少し緊張しているのかもしれない。何せ,恋人の部屋を訪れるのは四年ぶりのことなのだから。 もっとも,健の部屋はこんなにいい部屋ではなかったけれど。 「――それにしても,驚いたよ。酒強いってホントだったんだね」 ソファーに深く腰掛けた裕一が,まったく酔っていない美優の姿に舌を巻く。 「うん」 隣りに体重がかかったのを感じ,美優の緊張はさらに高まった。正面を向いたまま,相槌を打つだけでいっぱいいっぱいだ。 シャンパンをグラス一杯飲み干した後も,美優はイタリア産の赤ワインをハーフボトル一本空にした。それも,車の運転がある裕一は飲んではいけないため,彼女一人で,である。 「あたし,性格上ウソつけないの。ついたとしても,後で絶対罪悪感に(さいな)まれるから」 春奈(我が子)にだって,小さなウソ一つついただけで申し訳なくなる。美優はそういう正直人間なのだ。 けれど,そんな美優も裕一にまだはっきりと伝えていないことがあった。
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