プロローグ ~十六歳の九月~

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「アンタ,父親でしょ?責任取りなよ」 美優は産むと決めたうえで,彼にそう詰め寄った。 「あたし,この子産むよ。だから,出産費用出して,生まれたらちゃんと認知して。結婚してなんて言わないから」 呑気な健は,ここまで言われても何も感じていない様子。とどのつまりはコレだ。 「お前,高校どうすんの?」 (はあ!?自分の彼女が「子供できた」っつってんのに,学校の心配?) 「今それどころじゃないでしょ!?」と怒鳴りたいのを何とかこらえ,美優は一言だけ答える。 「辞める。しかないじゃん」 お腹が大きくなるまでは,通ってもいいと思うけれど,子育てしながら学校に通い続けるなんてほぼ不可能だ。 するとまた,健からの能天気な一言。 「なんで?辞めなくていいじゃんよ。()ろせば?そしたら今まで通り,付き合ってやってもいいぜ」 その一言に,とうとう美優はブチ切れた。せっかく授かった命を「堕ろせ」?妊娠させたのは自分なのに⁉
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