2・彼は恋愛小説家

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「でも,いいんですか?あなたみたいな有名人が,こんな出会い系アプリで女性と……」 「僕はそんなに有名人でもないよ。それに,アプリではニックネーム使ってるから。正体がバレることもあんまりないし」 「はあ」 問題はそこじゃない気がするが。 「僕は結婚歴ないから。恋愛を楽しむだけの分にはいいんじゃないかと思ってる。もちろん,そこから結婚に繋がる縁もあるかもしれないけどね」 美優はアイスラテを飲みながら,「あたしがその相手になれたらな……」なんて思っていた。 「でも,裕一さん。じゃあどうして,シングルマザーのあたしを選んだんですか?恋愛を楽しむだけの相手にしては重いでしょ?」 「えっ?重いって何が?」 どう言えば伝わるだろう?――美優はつっかえつっかえ,裕一に話した。 「あたしは本気で,娘の父親になってくれる人を探してるんです。結婚歴のない人にとって,シングルマザーって恋愛相手としては重くないかな,と思って……」
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