3・「パパ」と呼ばれる日

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3・「パパ」と呼ばれる日

裕一との初デートの翌日,美優はアルバイトの帰りに銀行のATMに寄ったその足で,書店に立ち寄った。 下ろしてきたバイトの給料から,裕一の著書を購入する予定にしていたのだ。彼とも約束していたことだし。 彼の著者は文庫本だけだったが,四冊買ったら二千五百円余りもかかった。 「ふー,結構かかっちゃった。ムダ遣いになっちゃったかなあ」 日曜日に,春奈とどこへ行くのか,まだ行先を決めていない彼女は,ちょっと不安になった。お金,()りなくなったらどうしよう……?裕一さんの負担は増やしたくないし。 「でも,どれか一冊だけじゃ申し訳ないしなあ。読むなら,全部一通りは読んでみたいもんね」 日曜日までには,まだ四~五日ある。その間に,一冊くらいは読み終えられるだろう。明日は休みだし。 「……さて,春奈が待ってる。保育園までお迎えに行かなきゃね」 美優は四冊の文庫本が入っているビニール袋をトートバッグに押し込み,娘の待つ保育園を目指して歩き出した。
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